ITストラテジスト試験~合格への道~
キーワンのITストラテジスト試験のまとめを報告します。
IPA(情報処理推進機構)の2019年秋のITストラテジスト試験(ST)試験に合格しましたので、
その時の学習方法を参考にして頂ければと思います。
前回、取得したITサービスマネージャ試験からは2年振りの合格となりました。
2年振りの合格の理由:実は去年もITストラテジスト試験を受験していたのですが、午前Ⅱの時点で不合格となりました。
<合格証書>
<リンク>
1.はじめに
まずはITストラテジスト試験とは何たるものかを知る必要があると思い、
キーワンはIPAが示唆するITストラテジストの定義を確認しました。
ひとまず読んでみましょう。試験の定義は毎回調べるようにしております。
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1.対象者像
2.役割と業務
ITを活用した事業革新、業務改革、革新的製品・サービス開発を企画・推進又は支援する業務に従事し、次の役割を主導的に果たすとともに、下位者を指導する。
(1) | 業種ごとの事業特性を踏まえて、経営戦略の実現に向けたITを活用した事業戦略を策定し、実施結果を評価する。 |
(2) | 業種ごとの事業特性を踏まえて、事業戦略の実現に向けた情報システム戦略と全体システム化計画を策定し、実施結果を評価する。 |
(3) | 情報システム戦略の実現に向けて、個別システム化構想・計画を策定し、実施結果を評価する。 |
(4) | 情報システム戦略の実現に向けて、事業ごとの前提や制約を考慮して、複数の個別案件からなる改革プログラムの実行を管理する。 |
(5) | 組込みシステム・IoTを利用したシステムの開発戦略を策定するとともに、開発・製造・保守などにわたるライフサイクルを統括する。 |
3.期待する技術水準
事業企画、業務改革推進、情報化企画、製品・サービス企画などの部門において、ITを活用した基本戦略の策定・提案・推進を遂行するため、次の知識・実践能力が要求される。
(1) | 事業環境分析、IT動向分析、ビジネスモデル策定への助言を行い、事業戦略を策定できる。また、事業戦略の達成度を評価し、経営者にフィードバックできる。 |
(2) | 対象となる事業・業務環境の調査・分析を行い、情報システム戦略や全体システム化計画を策定できる。また、情報システム戦略や全体システム化計画を評価できる。 |
(3) | 対象となる事業・業務環境の調査・分析を行い、全体システム化計画に基づいて個別システム化構想・計画を策定し、適切な個別システムを調達できる。また、システム化構想・計画の実施結果を評価できる。 |
(4) | 情報システム戦略や改革プログラム実施の前提条件を理解し、情報システム戦略実現のモニタリングとコントロールができる。また、情報セキュリティリスクや情報システム戦略実現上のリスクについて、原因分析、対策策定、対策の実施などができる。 |
(5) | 新たな組込みシステム・IoTを利用したシステムの開発に関し、関連技術動向及び適用可能性、社会的制約・要請、知的財産などの分析結果に基づき、競争力のあるシステムを企画するとともに、付加価値、拡張性、柔軟性などを踏まえ、その展開戦略や開発戦略を策定・推進できる。 |
4.試験時間・出題形式・出題数(解答数)
午前Ⅰ | 午前Ⅱ | 午後Ⅰ | 午後Ⅱ | |
---|---|---|---|---|
試験時間 | 9:30~10:20 (50分) |
10:50~11:30 (40分) |
12:30~14:00 (90分) |
14:30~16:30 (120分) |
出題形式 | 多肢選択式 (四肢択一) |
多肢選択式 (四肢択一) |
記述式 | 論述式 |
出題数 解答数 |
出題数:30問 解答数:30問 |
出題数:25問 解答数:25問 |
出題数:3問 解答数:2問 |
出題数:2問 解答数:1問 |
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こうやって文章のみを見ると難しいが、世間で言う、コンサルティングファームの役割で、システム知識を元に、経営に直結するサービス等の企画を行うことと私は理解しました。
2.合格率
合格率の確認は詳細はIPAの統計を確認して頂きたいが、大体12%~14%前後となっております。
これまでの試験の記録でも記載しましたが、以下理由があるので合格率だけを見て、受験をやめないようにしましょう。
【理由】
①試験の途中でやめて帰る人が多い!!
②そもそも試験に来る人が少ない!!
③情報処理試験の中で最高峰に難しい資格と言われてますが、日常の作業の役割によっては応用情報処理技術者試験より簡単です。※.普段から、コンサルティングや上級SE等をされている方は、ITストラテジストの方が簡単だと思います。
3.学習期間
・約2.0ヵ月
【内訳】
午前Ⅰ:なし(2年前にSM試験合格のため免除)
午前Ⅱ:2週間(午前Ⅰの過去問を複数回総流し)
午後Ⅰ:2週間(平日(月~金)で1問、休日に2問)
午後Ⅱ:1ヵ月(休日に2~3時間ほど)
4.参考書
使用した参考書は以下の2つです。それ以外は使用していません。
注):最新版のリンクにしております
①情報処理教科書 ITストラテジスト (EXAMPRESS) [ 広田 航二 ]
※.午後Ⅰに関してはこの1冊のみの学習です
②ITストラテジスト合格論文の書き方・事例集第5版 情報処理技術者試験対策書 [ 岡山昌二 ]
今回も論文用に参考書を購入しました。論文の体系の理解としてはITサービスマネージャ試験に合格した時の参考書でも問題ないので購入を躊躇しましたが、試験時のネタ帳としても重宝出来るので購入しました。結果的に良かったです。
<その他-参考書>
★午前対策を別途行いたい方
③情報処理教科書 高度試験午前1・2 (EXAMPRESS) [ 松原 敬二 ]
※.午前Ⅰからの受験が必要な方は以下がおすすめです。当然ですが、午前Ⅱに対しても有効です。
④ITストラテジスト徹底解説本試験問題 アイテックIT人材教育研究部
※.過去問の解説が非常に詳しいです。(プロジェクトマネージャ試験の際に利用しました)
※.2022年度からは総仕上げ問題集となりました。
5.試験毎の所感
5-1.午前Ⅰ、Ⅱ
今回は午前Ⅱからの受験でした。前回午前Ⅱ試験に落ちてしまい悔しい思いをしたので、今回は過去門を何度も復習しました。
https://itsiken.com/index.html
コツとしては、100点は目指さない!!過去問から全く同じ問題も出てくるので答えを覚えるだけでもよい!!
5-2.午後Ⅰ
これまで午後Ⅰ試験を突破した経験によると、特にITストラテジストの午後Ⅰ試験は国語の問題ですので、参考書部分は眺める程度にして、いきなり問題を解く学習方法にしました。使用した参考書も午後Ⅰ問題の解答例を丁寧に記載しておりますので非常に役立ちます。
ポイントとしては過去の解答を眺めるだけでも役に立つという点!!!これまで「プロジェクトマネージャ試験」「ITサービスマネージャ試験」と午後Ⅰ試験に落ちたことはないので、私にとっては正しい学習方法と理解しております。
理由は答えがボンヤリ分かっていても、実際に手書きする際の文章が思いつかないからです。
以下を実施しましょう
①書籍の解説問題は絶対に自分で解いてみる
②IPAの過去問の問題と解答例を眺めてみる(実際に解く必要はありません)
こんなことを言ってはダメかもですが、「システム知識を問う問題」ではなく「国語の問題」と割り切って勉強すればよいのかな?と思いました。(以外と、国語の問題が難しい・・・・)
5-3.午後Ⅱ
午後Ⅱに関しては以下の学習方法です。これまでと違うのは論文テーマの決定に時間をかけたことです。
①論文テーマの決定
キーワンはIT企画の経験があまりないのでテーマが思いつきませんでした。よって、テーマ選びによっては論文を書く時に手が動かないと考え、以下を満たすことを前提に考えました。
◎誰でも理解しやすい。身近に感じれる。
◎昨今の社会情勢を表していること。
上記を考慮した結果、
今回のテーマは「小売業における、人口知能を活用した自動購買発注システムの企画」としました。
◎誰でも理解しやすい。身近に感じれる。
⇒コンビニがイメージ出来るので非常に分かりやすいですね。
◎昨今の社会情勢を表していること
⇒少子高齢化、人手不足、外国人の活用と社会情勢に合っております。
上記さえ決まれば、他試験の論文試験(プロジェクトマネージャ試験、ITサービスマネージャ試験)に合格しているので、これまで通り学習するだけです。
②論文用の参考書を読破する。
ひとまずは論文用の参考書を最後まで読み切りました。
③自分なりに書いてみる
今回は先にテーマを決めたので、書きやすかったです。参考書の問題が出題されたと想定して書いてみました。
途中何度も手が止まりますが、その際は他の論文サンプルを例にして書いてみました。
本来、2時間を計って論文を記載する練習をするべきですが、何度も途中止めを行いながら書いた記憶があります
結局、2回ほど書きました。
この勉強が一番心が折れそうになる学習です。(明確な答えがないので。。。)
6.試験当日
2年前の秋にITサービスマネージャ試験を合格しているので、今回は午前Ⅱからの受験です。
以下に当日の試験毎の所感を記載します。
<午前Ⅰ>
免除のためなし
<午前Ⅱ:結果88点>
前回悔しい思いをしたので、今回は過去問を総流ししていました。その結果、答えの理屈は分からなくても正解している回答が多々ありました。(過去問と同じ問題が出題される場合、回答の順番まで同じため)
<午後Ⅰ:結果70点>
今回も最難関と感じた試験でした。やはり時間がギリギリでした。まずは開始5分程度で問題を選択することがポイントだと思います。理由としては、問題を読み込み試験時間を解くと時間がギリギリになるからです。途中で問題を変更をした場合はまず間に合わないと思って下さい。
結果的には70点取得出来ましたが、今回も過去問の答えを見ていたことが活きてきたと思います。
過去問を実際に解かなくても、答えを見るだけでも試験対策になりますのでお勧めします。
<午後Ⅱ:結果A>
ここは事前に決定していたテーマを問題に置き換えて、自分なりのアレンジを加えました。
自分なりのテーマの中に、試験の出題を強引に合わせていった気がします。
<以下の流れ>
設問ア:背景
・少子高齢化の中、売上拡大は見込めない。会社としては新規事業を模索している。
・発注業務は経験が必要だが、外国人従業員の増加
・発注システムを自動化(人口知能活用)して、誰でも精度が高い発注を可能にする。
設問イ:具体的な対応
・売上が高い店舗をピックアップして、自動化のために必要な情報(普段、発注時に考慮していること)を覚えさせる
・リスク回避のため、数店舗にてトライアルを実施
設問ウ:課題
・これまでの発注担当者のモチベーションが下がらないかの指摘
⇒本社企画部門を実施する。これまでの現場での発注業務や店舗経験を活かせる
・少ない人数で店舗を回せるようになった場合、これまでの担当者はどうなるのかの指摘
⇒会社として模索している、新規事業の担当を実施する。
上記のようなことを、話を膨らましながら記載していきました。ポイントは嘘でもよいので数字を出したことです。
例:費用回収は、前提(~~と仮定した結果)を考慮した結果、XX年で可能と判断した 等
試験の感想としては、
・2時間書き続けるので手が痛い。(何回受けても同じかな。。)
・最後の方は殴り書きになっていきます。
・途中で何度もあきらめかけた
結果的に合格だったので、今回も試験対策は成功だったと確信しております。
7.最後に
これまで、プロジェクトマネージャ試験・ITサービスマネージャ試験・ITストラテジスト試験に合格しました。
各参考書を見ると、色々と難易度をつけていましたが、どれも合格は十分に可能です。
参考にして頂ければと思います。